hiyodori_patransの特許翻訳日記

特許翻訳のあれこれを綴るブログです。

特許翻訳はおいしい仕事なのか

特許翻訳はおいしい仕事なんでしょうかね?

 

登録している翻訳者ネットワークのメルマガで、「敷居が高そうですが、報酬単価は実務分野の中でもトップクラス、…」とよく取り上げられているのが気になります。

 

特許翻訳って「難しいけど稼げるおいしい仕事」というイメージなのかなと思って検証してみました。「稼げるおいしい仕事」であると仮定して、理由として考えられるのは以下の3つかと。 

  

 

一つずつ検証してみます。

 

(1)高単価である

15年くらいまでなら、間違いなくYES。

昔、外国特許事務をしていたことがあるのですが、そのとき弁理士さんの請求書を作っていて1ワード@50円で計算していました。当時は(20年前くらいの大昔)、「弁理士報酬額表(料金表)」なるものがあって、これに確か、翻訳料50円と規定があったはず。割引価格でも40円代とか。

 

しかし、2001年に新弁理士法が施行され、規定額がなくなったようです。さらに、2007年にサブプライム事件に端を発して、これ以降、取引会社の要求もあって相次いで翻訳料金の値下げが進んでいきます。このあたりで単価引き下げになった翻訳者の方も多いでしょう。

 

昔ほどではありませんが、翻訳支援ツールの利用によってIT系やマニュアル系の単価下落が進んでいる中、特許翻訳はまだ単価がいいと言えるでしょう。

 

でも、翻訳以外の仕事と比べると、稼げる職種なのでしょうか??うーん、疑問です。

 

(2)仕事の需要がいくらでもある

 

個人的には、ここ10年くらいで見ても大きく減ったという印象はないのですが、統計を見てみると…

 

2016年の日本人による米国特許庁への出願数は85,313件。2012年から8万件台でほぼ横倍。2016年、EPOへは21,007件で、これもほぼ横倍。

一方、国際出願件数(PCT)は、2016年で45,220件。徐々に増加傾向。指定官庁に米国が含まれることが多いので、訳文の需要も増加傾向と推察しますが…

 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2017/honpen/0101.pdf

 

外国出願件数だけ見れば、必然的に翻訳も必要となることから、特許翻訳の需要件数はおおむね変わらず、好調といったところでしょうか。

 

(3)在宅でできて融通が利く

 

家庭のある人にはありがたいですね。でも、かなり向き不向きがあるのではないかと…

 

出願明細書の翻訳であれば、今日依頼されて明日納品というのはそうそうないですが(昔は、PCTルートよりパリルートが多かったので、明日までに至急出願というケースは結構あったと思います)、納期は絶対なので融通はまったく利きません。特許翻訳に限らずすべての翻訳に言えることですが。

 

それよりなにより、一日中誰とも話さずひたすら翻訳という作業に対する耐性があるか、ですね。私もこの仕事につく前に、自分の能力の次に、これが心配でした(やってみれば意外に平気でした)。

 

あと、技術のこととか特許のこととかでわからないことがいくらでも出てきて、ちょこちょこまめに本を読んだり勉強したりする必要があるので、気が付けば仕事なのか余暇なのかよくわからない状態になっていることが多いです。

 

まとめ

以上をまとめると、

「単価はまだそれほど悪くはなく、仕事量が減少傾向にあるわけではないが、適性はあるかも、勉強好きで孤独が平気な人であれば、良い仕事」(今のところ)と言えるでしょう。