hiyodori_patransの特許翻訳日記

特許翻訳のあれこれを綴るブログです。

誤訳するとどうなるか

テストの珍解答という本をご存知でしょうか?

 

文字通り、全国の中間期末テストから珍解答を集めた本です。

 

例えば、英語の問題。

 

問 次の英語を日本語に訳しなさい。

Butter is made from milk.

 

(答え)強打者は牛乳を飲んで作られる。

 

我が家の子供は愛読しすぎて、漢字の書き取りの宿題で、

 

もうひつ  →  牛筆

 

と書いておりました。

何冊もシリーズで出版されているのですが、とても面白いです。笑えます。

 

爆笑テストの珍解答 傑作選

 

 

でも、ここで、わが身を振り返り…

翻訳者のうっかり、勘違いは笑えるどころか、冷や汗が出ますね。

 

誤訳が生まれる背景には、今日明日中に訳文を提出しなければならないという、タイムプレッシャーがあり、平常心であれば「おかしい」と気づくはずのことを見過ごしてしまうことにも一因があります。

 

取り返しのつかない間違いとは何か、取り返しはつくがコストが発生する間違いとは何か。誤訳をするとどうなるのか。

 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/tukujitu_kijun/part8chap0.html#name_1_1.

 

↑ 日本の特許庁の審査基準ですが、参考になります。

 

5.1.2 原文新規事項の具体的判断基準

(1)

まず審査官は外国語書面の語句を一対一に文脈に沿って適正な日本語に翻訳した翻訳文を想定する(以下「仮想翻訳文」という。)。その仮想翻訳文に記載した事項の範囲内のものを外国語書面に記載した事項の範囲内のものとして取り扱う。仮想翻訳文に記載した事項の範囲内であるか否かの判断基準は、「第Ⅲ部 第Ⅰ節 新規事項」における当初明細書等に記載した事項の範囲内であるか否かの判断基準と同一とする。

(2)

外国語書面と明細書等の対応関係が不明りょうとならず、しかも、外国語書面を逐語訳しないほうがむしろ技術内容が正確に把握できる場合に限り、明細書等は1.4(3)で示した逐語訳によらずに記載することができる。ただし、この場合においても、当該明細書等は外国語書面に記載した事項の範囲内のもの、すなわち(1)における要件を満たすものでなければならない。

(3)

また、外国語書面の文章等の順番を入れ替えて翻訳した場合も、それにより外国語書面に記載されていない事項が明細書等に記載されたものとならない限り、原文新規事項とはならない。

したがって、外国語書面中のいずれかの個所に記載がある事項であれば、その事項は原文新規事項とはならない。

(4)

外国語書面の一部が翻訳されなかった場合は、通常の日本語出願の補正において記載事項が削除された場合に新規事項追加とならないことが多いのと同様に、原文新規事項とならないことが多い。しかし、翻訳されなかった部分の内容によっては、原文新規事項となることがある点に留意が必要である。

 

 

5.2 原文新規事項の審査手法

外国語書面出願については、通常は外国語書面と明細書、特許請求の範囲及び図面の内容は一致しているとの前提のもとに、この明細書等を実体審査の対象とし、外国語書面と明細書等の一致性に疑義が生じた場合にのみ、具体的には5.2.1に示すような場合にのみ、外国語書面と明細書等を照合する。その結果、原文新規事項を発見した場合には、拒絶理由とする。

 

どういう誤訳が新規事項とみなされるのか、例文が示してあります。

例えば、“外国語書面にbeamと記載があり、技術内容からして本来「光線」と翻訳すべきところ、「梁」と誤訳している場合”は、新規事項が存在していると疑われ、原文が参照されるそうです。

 

また、誤訳をした場合の出願人の手続きとして、誤訳を訂正するならば、「誤訳訂正書」を提出しなければならないなど。

 

その後の手続きなどを考えると、本当に冷や汗ものです。

 

 

 

期限に追われる仕事のゆえ、のめり込んでしまいがちですが、いったん時間を空けて見直す、訳文だけで論旨が通っているか読み返す、など自衛したいものです。

「正確に」「丁寧に」

基本に立ち返って翻訳しなければ。