hiyodori_patransの特許翻訳日記

特許翻訳のあれこれを綴るブログです。

そもそも特許翻訳って何?

 

特許翻訳を始めてみたい方、どんなものか知りたい方のために、連載でお届けします。

 

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さて、今回は「そもそも特許翻訳って何?」をお伝えしたいと思います。

その前に、特許とは何?いう話から始めます。

 

 

特許文書とは

「特許翻訳」とは、「特許文書」の翻訳のことです。

「特許文書」とは、「発明」の「特許」を取るために、特許庁に出す書類です。(他にもありますが)

 

「発明」と聞くと、エジソン白熱電球とかグラハム・ベルの電話とかが思い浮かびます。古いところでは「亀の子たわし」とか、最近ではアマゾンの「ワンクリック特許」とかもあります。

 

でも、実際にはそんな有名なものだけでなく、あらゆる製品に「発明」が詰まっています。例えば、自動車一台には何万もの(多分もっと)特許が含まれているといいます。

ちょっとここをこうしたら便利になる、とかそういう改良やアイデアも、どんどん特許を取ろうとするので、たくさん特許が存在するのです。

 

ということで、それに関わる特許文書もたくさん存在し、それを翻訳することが職業として(特許翻訳者)存在するのです。

 

翻訳がいつ必要となるか

では、その特許文書を翻訳する必要があるのはどんなときでしょうか。

例えば、日本で特許庁に出願した発明を他の国でも特許にしようとするときです。

 

特許庁に「これはこんな発明ですよ」と発明の内容を説明した文書を提出します。

この文書を「明細書」といいます。

特許庁では、審査官がその明細書を読んで、その「発明」に特許を付与していいかどうかを審査します。

 

海外の特許庁にも、この「明細書」を提出して、特許をとろうとする場合があります。

この「明細書」を翻訳するのが、特許翻訳の仕事のメインです。

 

特許翻訳の種類

特許翻訳の大きな市場は、日英・英日です。最近では中国の出願も増えていますが、これまでのメインの言語は、英語です。

ということを前提として、特許文書の翻訳も何種類かありますので、順にみていきます。

① 出願明細書(日英)

上に書いたような、日本で出願した発明を外国にも出願する場合です。

「明細書」を翻訳します。

「外国」とは、やはり米国が一番多く、次にヨーロッパです。どちらも英語の明細書が必要です。

他の外国出願もありますが、マイナーな言語だと現地の代理人のところで翻訳することが多いのではないでしょうか。

 

明細書の翻訳の長さですが、様々です。短いものだとA4の紙で10枚弱から、100枚を超えることもあります。分野では、バイオ系の明細書は長いと言われています。

仕上がりの英語ワード数でいうと、短いもので5000ワード弱、長めだと数万ワード超えることもあります。私のこれまでの感覚だと、1万数千ワードが多い印象ですが、分野や翻訳者によるかもしれません。

 

もし、特許翻訳者をめざすなら、この出願明細書を(どんな長さでも)訳すことが、一つのゴールだと思います。他の種類の特許文書もありますが、ここが一番単価も高く、需要も大きいところだからです。

 

ちなみに、外国の特許庁に提出するのにも期限があるので(法定期限)、納期は絶対順守です。

 

② 出願明細書(英日)

①の明細書(日英)は、日本から外国へ、ですが、その逆もあります。

外国の特許庁に出願した発明を日本の特許庁に出願する場合です。

言語としては、英語だけではないですが、例えば、他の言語だと英語に翻訳されたものがこちらに送られてくることが多いです。私は英日の場合しかよくわかりません。

 

(最近は、中国の出願件数が米国の出願件数を抜いたといいますから、翻訳需要は増えていると思いますが、残念ながら私に情報があまりないので、逆に知りたいくらいです。)

 

特許事務所に入った当初は、この英日を中心にやりました。

ここで覚えるたくさんの表現の蓄積が、日英翻訳をするときに生きてきます。

新米のときに訳すのだったら簡単かと思われそうですが、全然そんなことありません。

ただ、日本語から英語にするよりも、比較的直訳で不自然な訳でも意味が通じやすいというところはあるかもしれません。そして、ここで言い回しなど覚えていかないと、いきなり日英翻訳は難しいかなと思います。

 

特許翻訳者の中には、この英日翻訳をメインでしている方もいらっしゃるようです。日英も英日も両方、同じくらいされている方もいらっしゃるかもしれません。

私は、ほとんど日英のお仕事なので、意識して英語の明細書を読むように心がけています。

 

③ 中間書類

中間書類が何かっていう話ですが、まあ、特許庁に提出する出願明細書以外の書類もろもろ…という感じです。

 

特許庁に書類を出したら、もうおしまい!というわけではなく、審査が待っています。

 

その時に、外国の特許庁から来る手紙や、それに対する返事を訳すことがあります。

また、出願した発明に関係のありそうな文献を特許庁に出さなければならないことがあり、この文献を翻訳する仕事があります(引例翻訳)。

 

この翻訳は、明細書と違って短いことが多いです。数千ワードくらいとか。

多分、フリーランスになって翻訳会社に登録したら、この引例翻訳を最初に依頼されて様子を見られることも多いのではないでしょうか。

あるいは経験年数が短い場合、ここからスタートかもしれません。

 

文献の翻訳は、全文訳ではなく、部分訳の場合がほとんどなので、翻訳者の負担も少ないと思います。また、特許庁からの手紙や通知は、定型文句も多く、参照できる英文があったりするので、一から自分で訳すよりは楽かもしれません。

 

が、部分を訳すには、結局 全文を読む必要があり、対応する英文があるということは、それを読み込まなければなりません。で、時間がかかる割には自分の訳したものは、1000ワードもいかず… たいして稼げなかった!ということもあります。これは、フリーランスの場合ですが。

 

 

特許庁とやり取りする文書は、特許事務所の外に出ることが比較的少ないです。

なので、私(フリーランス)の場合、依頼自体も少ないのですが、話があったら積極的に受けています。どんなところを審査官は見ているのかな、ととっても参考になります。

また、訴訟系の文書だと、こんな一語一語で訴訟に発展するんだな~と読んでて結構面白いです。揚げ足取り的な感じもあり。

読みなれないと、何言ってるんだか全然わからん!という文書ですが…

 

まとめ

特許翻訳のメインは、特許庁に出す「明細書(発明を説明する文書)」の翻訳

仕事の量が多い(需要がある)のも、明細書の日英

 

次の記事はこちら → 特許翻訳の仕事はどこからくるのか