ギグ・エコノミー
"ギグ(gig)" と聞いて何を思い浮かべますか?
私は、ミュージシャンのライブが真っ先に思い浮かびます。
が、gig(ギグ)とは、短期間の仕事(job)という意味もあるそうです。

ギグ・エコノミー 人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方
- 作者: ダイアン・マルケイ,門脇弘典
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/09/22
- メディア: 単行本
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終身雇用やフルタイムといった従来の働き方が徐々に崩壊し始めており、「ギグ」と呼ばれる単発の仕事を組み合わせる働き方が浸透するであろう
ー というこれからの働き方を紹介する本です。
「人生100年時代」という聞き飽きた感のある副題がついていますが、現在フリーランスの私にはとても役立つ一冊でした。
「10の成功法則」を挙げて順番に詳しく説明しており、フリーランスの行動指針となりそう。よかったので、そのまま引用してみます。
「ギグ・エコノミーの10の成功法則」
① みずからの成功を定義する
② 働く場を分散させる
③ 生活保障を設計する
④ ネットワーキングをせずに人脈をつくる
⑤ リスクを軽減して不安に立ち向かう
⑥ 仕事(ギグ)の合間に休みをとる
⑦ 時間への意識を高める
⑧ 柔軟性のある家計を組み立てる
⑨ 所有からアクセスに切り替える
⑩ 老後の資金を貯める
「ライフシフト」よりも実践的で付箋を貼りながら読んでしまいました。
簡単なエクササイズもついているので、私もいくつかやってみました。
今でこそ、人生100年時代とか、働き方改革とか、副業とか、いろいろ言われていますが、まだまだ正社員の道から外れることに抵抗のある人も多いのではないでしょうか。
敷かれたレールもなく、自分のキャリアパスを考えてくれる会社もなく、すべて自分で舵取りをしなくていはいけないとは、不安…と感じる人も多いはず。
そんな不安に対して、「ギグエコノミー」の社会をどう生きるべきか、どんなよい点があるのか、著書では説明しています。
例えば、「仕事がない時」をどう考えるか。
仕事と仕事の間の時間(失業期間、次の仕事に移るまでの期間)を使って、「死ぬまでにやりたいことリスト」を片付けたり、個人的生活の多角化と拡大化につとめることができる、など仕事の合間を作る利点が挙げられています。
収入の不安定さに対する不安にどう対処するか。
最悪の事態(例えば、ホームレスになってしまう)、そのリスク、可能性、対策を考え、不安を分析する方法が紹介されています。
固定費を小さくし、所有しないこと。
所有する代わりに、「アクセスエコノミー」を利用することを勧めています。
「引退に備えて貯蓄せよ」という勧めもなかなか興味深い。一生働き続けるつもりでも、なかなかそうはいかず、病気や怪我で早めに仕事を引退せざるを得ないことが多いとのこと。
そして、一生 存続する職業(ジョブ)がないということは、それだけいろいろなことが試せるということ。
しかし、「ギグ・エコノミー」は明るい側面だけでないのも事実です。
日本の社会構造はまだまだ、身分保障として「勤務先」がある方が有利なことが多いです。仕事と仕事の合間ができて収入がなくても、最低限の支出は必ずあります。ベーシック・インカムを導入するという考え方もありますが、現実味はまだまだ日本では感じられません。
そして、経済的に満足のいく職業生活が送れるかは、結局「ギグ」の内容次第。
「単発の仕事が基盤となるギグ・エコノミーはスキルの経済であり、スキルの高い労働者が勝ち組に入る」と著者も指摘しています。何をもって「勝ち」とするのかは議論の分かれるところですが。
単発の仕事の積み重ねが「最強の働き方」になるかどうか。フリーターとの分かれ目はやはり「スキル」にあるということでしょうか。