フリーランスあるいはプロの心構え
先日、久々にテレビでプロフェッショナル・仕事の流儀を見ていると、声優の 神谷浩史さんの回でした。
ネットで検索してみると、とても有名で人気のある方なんですね。
発言の一つ一つがとてもよかったです。
人気商売ではまったくない私ですが、フリーランスとしてソロで仕事をしている人なら感じるところがあるはず。
記憶に残ったところを書いてみます。
(この通りではなく、こんな感じの内容の発言をされていたということで、記憶違いなどありましたらご容赦下さい。)
役ごとに七色の声を使い分ける、すごい声優さんもいるが、自分はそういうタイプではない。
「自分に自信なんかないですよ、だから努力を重ねるしかないんです。」
自分の仕事に満足することはない、という。
現場で何を求められているか常に考える。
最近、ステージに立って出演する機会が増えていることに対してどう思うか?という問いかけに対して、
「好きなわけないじゃないですか。顔出さなくていいから声優やっているというのに」
と答える。
でも、求められたことにはそれ以上の成果を出せるようにベストを尽くす。
努力するしかないじゃないですか、と。
なんの保証もない日雇いの仕事なので、声がかからなければ、次はない、という神谷さん。
・・・この緊張感ってフリーランスの人ならみんな感じるところではないでしょうか。
自分の代わりっていくらでもいる、という。
現場の音声監督と相談し、確認し、台本にメモをとる神谷さん。
その打合せに基づいて、本番ではリハーサル時と発声(表現)を変えていく。
リハーサル時と本番時とビフォー&アフターの音声が放映されましたが、
素人の私にはとても微妙で区別がつきにくいくらい。
でも、これを積み重ねていくと、全体の作品としての出来が違ってくるんだろうなと。
もう、この姿勢のすべてが素晴らしい…
私の職業はフリーランスの翻訳者(それもかなり狭い分野)ですが、
才能あふれるわけでも、語学の天才でも、何かの専門家でもなく、
人より突き抜けた何かがあるわけでもありません。
だからこそ、20年同じ仕事をしていようが、年齢を重ねようが、
常に求められるものが提供できるように努力を続けることが大事だとかみしめました。
この「求められるもの」も変わっていく。
これまでのスキルや過去がどうであったかに固執することなく、自分も変化させていくことが、ずっと現役でい続けることではないでしょうか。
機械翻訳の進化により人の翻訳は不要になる、という話も聞きますが、
現時点で人の翻訳が必要とされているならば、求められる品質を提供すべく努力を続けるしかない。
期待に応えて認められるということは純粋に嬉しい。
(とたしか、神谷さんも言ってたはず)
自分の好きなこととか、やりたいこととか、青い鳥を探し求めなくても
仕事のやりがいとは、そういうところにあって、それだけでも十分なのかもしれません。